Q16:(一人で参加の女性)問題解決志向が強い主人が、この間初めて泣きながら子どもが出来ない辛さを話しました。仕事も忙しいので、うつ病になるんじゃないかと心配になっています。話す機会を増やそうと思っても中々話しません。何か解決法はありますか?(道を歩いている子どもを見て、何でうちには出来ないんだ等)

   

A16: ご主人が自分の気持ちを“あなたに”話したことはとても意味がある事なのだと思います。無理やり話させようとするのではなく、ご主人が話されるときにしっかり聴いて下さることがご主人の力になると思います。「問題解決志向が強い」ご主人とのことですので、“解決しない”不妊という状況自体耐えがたい事なのでしょう。あなたはご主人の話をお聞きになってどのように感じられましたか?自分はしっかり聴かないとと思われたでしょうか。二人に降りかかったこの困難を二人で悲しむことができれば、問題そのものは解決しなくても、二人で分かち合う事はできるかもしれません。“一緒に悲しむ”時間を大切にしていただければと思います。

 

 

Q17: イライラする時はどうしたら良いか。忙しくて話し合う時に、時間をとらないといけない事はわかるが、やっぱりどうしても急がなくてはならない事があるし、話を聞くのが重要でもそれを待てなくてイライラしてしまう状況もあると思う。そういう時は、どうしたら良いか?一度ぶつかるよりは、話し合いをやめた方がいいか。それでも少しづつ話し合いをした方が良いでしょうか?

  

A17: 相手の話を聞くのにはエネルギーが必要です。自分が弱っていたり疲れていたり余裕がないときにはとても話は聴けません。そんなときでも「話は聞かないといけない」と思ってしまうと、結局中途半端に聴くことになり、相手にもその態度は伝わるので、かえって“聞いてもらえなかった”と思われがちです。そうするとせっかく聞いた自分も「聞いてやったのに」と思ってしまい、どちらにもいいことはないですよね。話が聞けないときもあることをお互いが了解しておくことが大切です。聞けないときには「聞けない」といってよいという合意を(元気な時に)取っておきましょう。そうすることで、相手も「今日は話しかけても大丈夫だろうか」と恐る恐る話しかけたり、「話しかけていはいけないんだな」と話さなくなってしまうことがなくなります。話したいことがある時には「聞いてほしいんだけど」と話しかけてもよいこと、話しかけられたほうは「ごめん、今日は疲れているから、今度の日曜だったらしっかり聴けると思うから、そのときにして」とそのとき話を聞くことを断ってもよいこと、それを拒絶やけんかにせずに積極的なコミュニケーションとしてやりとりしましょう。

 

 

Q18: 排卵日射精障害のカップルへの関り方、心のケア、寄り添い方がありますか。

  

A18: 排卵日セックスがその夫婦にとってどのようにプレッシャーになっているか、しっかり聴いてください。その際、排卵日セックスが苦痛になるのは当然であるという共感を忘れないことです。射精障害が続くと夫婦関係が悪化することは目に見えていますから、それ以外の方法で妊娠を試みる方が、二人にとってもよいことがあるかもしれないと伝えることも大切でしょう。人工授精が代表的でしょうが、それにも抵抗のある人には、今は医師ではなく、シリンジ(針のない注射器のようなもの)で膣内に精液を送り込むことを夫婦でできるよう指導してくれる施設もあるようです。夫婦に抵抗の少ない形を一緒に考えることができるとよいですね。ご夫妻の方が“自然である”ことにこだわり、タイミングにこだわってしまっている(にもかかわらず射精障害があるから問題なのですが)場合も結構ありますので、その抵抗感も受け止めながら、自然を追及することが却って夫婦にとって不自然なことになることもあることを伝えられるようにしましょう。